マレーシア法人の年間維持費用


本ページでは、マレーシア法人( SDN. BHD.)を維持するために必要となる費用について
どのような種類の費用が発生し、それぞれどの程度の金額がかかるのか
ということに関して、解説してきます。

会計費用等は、仕訳数・売上額・資本金額等によってケースバイケースではありますので、
必ずしも下記に記載した金額でおさまるわけではないですが、
目安として、ご参考いただけますと幸いです。

 

毎年必ず発生する費用

毎年支払いが必要となるものとして、以下のような項目があります。

 

1.カンパニーセクレタリーに関する費用

マレーシアにおいては、
会社は、1名以上のカンパニーセクレタリー(Company Secretary)を必ず任命する必要があります。

また、カンパニーセクレタリーを通して、
毎事業年度、会社登録委員会(SSM=登記所)への
「年次報告書(Annual Return)」及び「監査報告書(Audit Report)」
の提出が義務づけられています。

カンパニーセクレタリーとは、
会社に対して、会社法に関連するアドバイスしたり、
会社法上求められる法定の届出などのスケジュールを管理し、
会社の法令遵守をサポートすることが期待されている役職です。

会社の登記事項に変更があった場合(取締役、株主、増資等)、
登記申請のために必要な書類を準備し、会社のために申請手続きを行います。

また、毎事業年度、
会社の登記事項や事業活動に変更がないか等について、
マレーシア会社委員会へ年次報告を行ったり、
決算の際に監査人(Auditor)によって作成された監査報告書(Audit Report)を提出したりすることも
カンパニーセクレタリーの役割です。


ちなみに、
日本では「司法書士」がカンパニーセクレタリーと同様の業務をしていますが、
各会社ごとに専属の司法書士を選任することまでは求められないのに対して、
マレーシアでは、カンパニーセクレタリーの任命が必須となっています。

 

カンパニーセクレタリーは、所定の資格をもった個人でなければならず、
一般的には、カンパニーセクレタリー会社や
カンパニーセクレタリー業務を提供/併設している法律事務所や会計事務所に報酬を払い、
依頼することとなります。

その報酬体系は、
一般的には、月額何リンギットという基本料金が設定され、
個別の登記手続きや年次報告、取締役会等の決議書作成に関しては別途その都度請求
という体系をとっているカンパニーセクレタリー会社が多いです。

月額報酬としては、ローカルの安いところであれば月額50〜100リンギット程度からありますが、
日本人が関与しているカンパニーセクレタリー会社等(日本人が窓口となっている進出エージェント会社含む。)では
月額100〜数百リンギットあたりの料金設定となっています。

この値段の差は、マレーシア人と日本人の人件費の差がまず大きな要因ですが(つまり、日本人コンサルタントの人件費)、
そもそも提供しているサービスの範囲や質などが異なる(
国際的な論点に対応できるかどうか等の専門性だけでなく、
サービスのきめ細かさなども含めて。)
ということもあるかと思います。

また、ローカルの安いセクレタリー会社の場合、
そもそも外国人の案件をほとんど扱った経験がないという場合もありますし、
扱っているとしても、就労ビザのことや許認可・ライセンスに詳しくないこともありますので注意が必要です。

年次報告の費用については、
カンパニーセクレタリーの報酬については月額報酬に含まれている場合もあれば
別途数百リンギット請求という場合もあります。

 

 

2.会計監査費用

マレーシアでは、会社の規模を問わず、事業を公開しているかどうかを問わず、
毎事業年度、第三者である監査人(Auditor)による会計監査が必須とされています。

そのため、会社は必ず監査人を任命する必要があります。

カンパニーセクレタリーと違い、会社設立時に選任する必要はありません。
会社設立後初めて会計監査が必要となった時点(=決算のとき)でも大丈夫です。

会計監査に要する費用としては、
上記「カンパニーセクレタリー報酬」と同じく、ローカルの監査会社に依頼するか、
日本人が関与している監査会社に依頼するかによって大きくことなります。

前者の場合、安いところであれば年間2,000〜5,000リンギットあたりのところもありますが、
日本人が関与している監査会社に依頼するとその数倍の金額になります。

この値段の差は、上記「カンパニーセクレタリー報酬」のところで説明したように、
マレーシア人と日本人の人件費の差がまず大きな要因ですが(つまり、日本人コンサルタントの人件費)、
そもそも提供しているサービスのレベルが違う(国際的な論点に対応できるかどうか等の専門性だけでなく、サービスのきめ細かさなども含めて。)ということもあるかと思います。

なお、会計監査の費用は、
その対象会社の売上額、事業の性質、仕訳数、資本金額等の様々な要因により大きく異なります。

ローカルの監査人に依頼した場合でも、ケースバイケースで、上記目安金額を大きく超えることもありえます。

 

 

3.税務費用

1)法人税申告

会社は、毎事業年度、税務署に対して法人税申告をすることが求められます。

会社から本人申請することも可能ですが、かなり専門性が高いため、
一般的には税理士(Tax Agent)へ依頼します。

多くの場合、ひとつの会計事務所が、上記の監査人(Auditor)、税理士(Tax Agent)のどちらをも提供しています。
カンパニーセクレタリー業務も提供している会計事務所も多いです。

税務申告費用については、
上記会計監査費用等と同じく、ローカルの税務代行会社に依頼するか、日系に依頼するかによって大きくことなります。

ローカルの安い会社であれば1年に一回の法人税申告に関して2,000〜3000リンギ程度ですが、
日系であればその数倍もしくはそれ以上となります。

なお、税務申告の費用は、
その対象会社の売上額、事業の性質、仕訳数、資本金額等の様々な要因により大きく異なります。

ローカルの税理士に依頼した場合でも、ケースバイケースで、上記目安金額を大きく超えることはあります。

 

2)その他の税務

なお、税務においては、
どの会社も必ず必要となる上記の「法人税申告」のほかにも、
各会社の事業形態に併せて、

サービス税・セールス税(SST)、源泉税(Withholding Tax)、個人所得税(Personal tax)
個人所得税の毎月の源泉徴収(PCB)、
移転価格税制に対する対応、等々

様々な税務手続きが発生し、それらに関して別途費用がかかります。

 

 

4.会計帳簿・財務諸表作成費用

1)帳簿作成・財務諸表作成に関する費用

上述した会計監査、法人税申告を行う前提として、
会社の日々の取引をマレーシアの会計基準に則って記帳し、貸借対照表・損益計算書等の財務諸表を作成する必要があります。

これに関しては、必ずしも会計事務所へ依頼することが法律上義務付けられているわけではありませんので
御社自身で作成することも可能です(その場合は、この会計帳簿作成費用は発生しないことになります)。

ただ、この帳簿作成に関しても、マレーシアの会計基準の知識が必要となり、
かなりの専門性が求められますので、
会社自身でマレーシアでの経理業務の経験があるスタッフを採用される等している場合を除き、
一般的には会計事務所へ依頼することが多いです。

帳簿・財務諸表作成に要する費用としては、
上記「カンパニーセクレタリー報酬」等と同じく、ローカルの監査会社に依頼するか、
日本人が関与している監査会社に依頼するかによって大きくことなります。

前者の場合、安いところであれば月額数百リンギ(年額数千リンギ前後)あたりのところもありますが、
日本人が関与している監査会社に依頼するとその数倍の金額になります。

なお、帳簿作成の費用は、
その対象会社の仕訳数、売上金額等の様々な要因により大きく異なりますので、
ローカルの会計事務所に依頼した場合でも、ケースバイケースで、上記目安金額を大きく超えることもありえます。

 

2)税務に関するアドバイスは別途費用であるという点にご注意を

一点ご注意点としまして、
マレーシアの場合、「帳簿作成サービス」と「税務サービス」は全く別のものですので、
毎月の帳簿作成を会計事務所へ依頼しているからといって、当然にそれに税務のアドバイスが含まれているわけではありません。

帳簿作成を依頼している場合、会計事務所としても、サービスとしてある程度の税務に関するアドバイスをしてくれることはありますが、
それはあくまでもサービスとして行っているものですので、
税務に関して継続的な個別具体的なアドバイスをご希望の場合は、
別途、税務のアドバイザリーサービスを申し込む必要があります。

 

 

「法人税の均等割」はありません。

日本では、たとえ赤字であっても払わないといけない税金として「法人住民税の均等割」というものがあります。
金額にすると年間7〜8万円程度(地域による。)のものですが、
創業当初のあまり利益がでていない段階では支払の段になって意外にズッシリくるものです。

この点、マレーシアの場合はこのような性質の税金はありません。

 

 

まとめ

上述した各費用をまとめますと、以下のとおりになります。

 

すべてをローカルの安い業者へ依頼した場合(年額)

1)ほとんど活動してない休眠状態に近い会社の場合

a. カンパニーセクレタリー関連の費用:1,000〜2,000リンギ

b. 会計監査関連の費用:2,000〜3,000リンギ

c. 税務関連の費用:2,000〜3,000リンギ

d. 会計帳簿・財務諸表作成関連の費用:3,000リンギ~4,000リンギ

合計:5,000~8,000リンギ 

2)活動している会社の場合

活動している会社の場合、その売上額・事業内容、仕訳数によって
要する費用は大きく異なりますので一概に申し上げることはできません。

あくまでもケース・バイ・ケースですが、
活動している会社の場合は、少なくとも、以下のような金額がかかるとお考えいただいた方が良いです。

a. カンパニーセクレタリー関連の費用:1,000〜2,000リンギ

b. 会計監査関連の費用:4,000リンギ程度から1万リンギ前後

c. 税務関連の費用:3,000リンギ前後から
  ※移転価格税制、源泉税、SST対応などが必要な場合は、何倍もの税務費用が発生します(特に移転価格税制対応に関して)

d. 会計帳簿・財務諸表作成関連の費用:10,000リンギ前後から

合計:18,000リンギ前後から
  ※移転価格税制、源泉税、SST対応などが必要な場合は、何倍もの税務費用が発生します。

 

日系の会計事務所やコンサルティング会社を利用する場合

各事務所等によって報酬体系や提供しているサービスが異なりますので、
一概には言えませんが、
日系の会計事務所等にご依頼される場合は、上記のそれぞれの費用が1.5倍から倍以上になることもあります。

また、日本人のコンサルタントに継続的にご相談される場合には、
別途アドバイザリー料が発生する費用体系をとっている事務所も多くあります。

弊社の方で法人設立をサポートさせていただく場合は、
法人設立後、提携先のローカル会計事務所をご紹介させていただき、
かつ、
弊社がアドバイザーとして関与させていただくかたちをとっています。

弊社がご紹介するローカル会計事務所は、
国際会計事務所ですので、上記の「安いローカル会計事務所」に比べますと
各項目の費用が若干高くなりますが、
移転価格税制や、海外送金の際の源泉税など国際的な税務の問題にも対応可能です。

弊社がアドバイザーとして関与する場合の費用は、
各クライアント様ごとに、どの程度弊社のサポートが必要であるかによって様々です。

毎月継続的に弊社へのご相談やサポートが発生するクライアント様に関しては
継続的にアドバイザリー料をご請求させていただいておりますし、

クライアント様によっては、普段はローカル会計事務所と直接やり取りされ、
必要な場合のみ(決算の際や難しい論点の場合のみ)、弊社にアドバイスやサポートを求められる場合もあります。
その場合は、その都度スポットで請求をさせていただいております。