マレーシアで事業を開始し、自らマレーシア国内に滞在し、取締役/従業員として積極的に事業運営に携わる外国人は、イミグレーションから就労ビザ(employment pass)を取得する必要があります。
また、当事業で働く外国人従業員についても、就労ビザを申請する必要があります。
個人事業での就労ビザ申請は不可。
まず、大前提のお話しとしまして、個人事業では就労ビザを取得することはできません。
就労ビザを取得したい個人や企業は、現地法人を設立、またはマレーシア国外に法人をお持ちの方の場合は駐在員事務所/支店を開設する等の方法をとることになります。
日本で起業する場合、まずは個人事業から小さくスタートをして、ある程度見通しがついた段階で法人成りという方法をとることができますが、上記の理由により、マレーシアではこの方法はとれません。
就労ビザの申請は、当個人からではなく、会社名で行う。
就労ビザの申請は、就労ビザを発給を求める個人から行うのではなく、当法人から申請を行います。
まず、当法人が行うビジネスを管轄する省庁へ外国人就労ポストの申請を行い、ポストを与えてもらいます。その後、与えられたポストに対して当事者個人の審査を申請し、許可を得るという順になります。(その後、この許可書を駐日マレーシア大使館等へ提出し、就労ビザを発給してもらいます。マレーシア国内にいる場合は、わざわざ日本に帰らなくてもマレーシア国内でこの手続きもすることが可能です)
ケース別の注意点など
1.自らの100%出資でマレーシア法人を設立し、当会社で就労ビザを申請する場合。
100%出資の場合、就労ビザを取得するための要件として、最低50万リンギットの資本金がイミグレーションから求められます。ここでいう「資本金」は「授権資本金(authorized capital」ではなく、実際に払い込まれた「払込資本金(paid-up capital)」のことをいいます。
あくまでも「資本金」ですので、払込み後、自由に事業資金として使うことができます。
なお、小売業、卸売業、飲食業などの業種に関しては、就労ビザの申請に先立ち、国内取引・協同組合・消費者省(MDTCC)からWRT Approvalを取得せねばならず、そのWRT Approval取得のためには100万リンギットの資本金が求められることとなっております。また、WRT Approvalは、マレーシア経済にとって有益(benefiting to Malaysia’s economy)で、かつ、独特(unique)のビジネスに対して付与されるものとなっていることにもご留意ください。
この方法をとる場合には、会社を設立する前に、ご自身がされてようとしているビジネスがマレーシアにおいて外国人に開放されているかどうかを入念にチェックしてください。また、外国人に開放されている場合でも、外国人の出資割合が一定割合までにおさえられていたり、ブミプトラ(マレー系マレーシア人)による一定割合の出資が条件となっていたり、そもそも当事業に関するライセンス/許認可の発行が一時的に凍結されていることもありますので、その点もご注意ください。
2.マレーシア資本との合弁でマレーシア法人を設立し、当会社で就労ビザを申請する場合
マレーシア資本(マレーシア企業やマレーシア人)と出資金を出し合い、会社を設立し、当会社で就労ビザを申請する場合、イミグレーションが求める最低資本金は35万リンギットとなります(外資100%の場合よりも求められる資本金は少なくなります)。
また、資本金のうち一定割合以上をマレーシア資本に所有させることで、上記の業種に関しても、上記WRT Approvalの取得が免除されますので、100万リンギットの資本金を用意する必要がなくなります(つまり、上記業種に関しても、35万リンギットの資本金で就労ビザの申請ができるようになる)。
なお、混同されている方がいらっしゃいますので、念のため補足しますと、「株主」と「取締役」はまったく別のものですので、マレーシア資本(マレーシア企業やマレーシア人)を株主として参加させるからといって、必ずそのマレーシア人を「取締役」にする必要はありません。
3.マレーシア資本100%の会社に取締役/従業員として参加し、就労ビザを申請する場合
マレーシア資本(マレーシアの企業や個人)による100%会社の場合、外国人の就労ビザ申請のために求められる最低資本金要件は25万リンギットになります(合弁形態の場合よりも更に低くなります)。
この場合、上記WRT Approvalを取得する必要はありません。
4.日本法人(やその他外国法人)の駐在員事務所や支店を設立し、就労ビザを申請する場合
もしマレーシア国外(日本やその他の外国)に法人を所有しているなら、その法人の「駐在員事務所」や「支店」(但し、支店形態は許認可やライセンスがおりにくい等の理由により一般的ではありません)をマレーシア国内に設立し、その駐在員事務所等から就労ビザのポストを申請することができます。
ただし、「駐在員事務所」は、将来のマレーシア進出にむけて情報収集等をするための事務所として位置づけられており、マレーシア国内における商業活動は認められておりません。
支店形態の場合は商業活動が可能ですが、上記の通り、あまり許認可がおりない業種が多いため、一般的な選択肢ではありません。

